それは、二人の夕食時間の事だった…メニューは唐揚げとサラダ。
二人での生活を始めてたった2カ月だが、大抵こう言った揚げ物の場合
大きな皿に全て入れて、好きな量取り合う…
遠慮は皆無、まさに(唐揚げを)食うか食われるかのサバイバルゲーム。
その時、踊壺はふと言った。
「…にゃ~、早くなったなぁ、『妾』もまけてられへんわぁ…♪」
「………!!」
八尾が、まるでビデオを一時停止したようにビタリと橋を止めた。
「………んにゃ?どぉしたん?」
「…いえ、今姉様…口調が…?」
八尾の言葉を聞いて、踊壺は頬を染めて口元を押さえる。
ちょっと可愛い…我が姉ながら八尾は思った。
最近知り合いの影響で覚えて、癖になったらしい。
ちょっかい出しぃの赤面症、これほど厄介な人種もそういないだろうに…
…いやいやそうじゃない、と、八尾は頭を振って思考を戻す。
「…にゃ~、最初のうちは頑張って押さえとったんやけど…
最近は自然に京訛り出るから油断しとったわぁ…にはは♪」
頭をポリポリ掻いて笑う姉を見て…
「無理は…していませんよね?」
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「…にゃ?あの夜二人でちちくりあった後は大丈夫やえ~?
八尾ちゃんこそ大丈夫なん、腰とか?」
「いえ、そうじゃありません…ってそれは思い出させないでください!!」
顔を赤くして抗議した後、息を整えて言った。
「…私は不安なんです、姉様のそう言う所が。」
「…無理なんかしてへんよ、別に。」
…八尾は俯きながら…橋を置いて言った。
「…でも…あの時の電話だってそうです…帰る直前の時はどんどん頻度が上がってきて…
私は、姉様の護衛である以前に…」
「…ん、大切な家族や…八重架と同じだけ…」
…踊壺には、土蜘蛛の中でも封印から覚めた者ながら700年前の記憶は無い。
それも、檻の中にいた自分が次第に忘れられていく恐怖…
そう、不完全な封印の中にいたからこそ受けた忘却に対するトラウマから生まれた心の病気だ。
だからこそ、八尾は不安だった…八重架の役をやるのは…踊壺の方が…
俯いた八尾を撫でた後、踊壺は続けた。
「…確かに、忘れて欲しくはなかった…でも、おじいちゃんたち以外にも八尾ちゃんに平賀さん…私はたくさんの人と仲良うなれた。
たくさんの人に覚えてもらった…せやから私は間違いなく、燕糸踊子やよ♪」
…しばらくの沈黙…
「…にゃむ、にゃむ、にゃむ♪」
…隙をついて、踊壺は残りの唐揚げを全て食べてしまった。
「あ…みゃ~~~~っ!!」
「にゅほほほ、修行が足りませんえ~♪」
その夜、自室にて…踊壺は枕に顔を埋めていた…
ひとりごとか、懺悔か…いや、特に意味はないのだろう。
枕に語りかけるように、踊壺は自白した…
「…八尾ちゃんに変わってもらったんは私の我儘や。」
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無題
「みゃははははははははははっ!!!
ひゃめ、ひゃめて…みゃあっはははははは!!」
「にゃひょひょひょひょひょ♪」
やおちゃんは腰が弱い、そう気付いた途端擽ってみたくなったんですえ~♪
・・・というオチだったそうな♪