「みゃふ…もう朝ですか…」
午前五時、燕糸八尾の朝は早い。
蜘蛛の巣部屋の天井に張られた『巣』から器用に降りる。
幾つも張られているため安全に降りることができる。
長い間一般人として暮らしていた八尾にとっては
ブランクを取り戻すのにちょうどいいアスレチックだった。
「姉様、ご飯ができましたよ。」
「にゃあぁ、久し振りのまともな朝ごはんやぁ…
日本の朝ごはんはやっぱりお味噌汁とご飯やなぁ…。」
感動の涙を流し、姉様は私の御飯をたべてくれた。
姉様本人も、恐らくは試行錯誤を繰り返したのだろう。
台所は炭化した卵の破片と、放電を繰り返す謎の物体が散らばっていた
料理よりも片付けに手間が掛かったとは言わないであげよう…
鎌倉に戻って来て一週間、そして蛛糸商会に来て初めての朝だった。
私達が『姉妹』になってから、もう一年…
そして、あの戦争中の事故からも…