■~オープニング~
その館は呪われている。
その館には『鼠』を入れてはいけない。
首を刈られて『捧げ』られるぞ。
その館、『アンチェスター屋敷』には、近づくな。
そんな噂が学校で『どうでも良い事』として囁かれた時のこと。
その日彼らはしがない日常会話をしながら帰路を歩いていた。
一般人では珍しい金髪の少女とすれ違い、振り返った矢先に…
「どけっ!!」
と、走ってきた男に振り返った数人が押しのけられる。
金髪の少女は男の方を向き唖然とする。
「かっ…返してください!
だれか…バック…ひったくりがっ…!」
彼女は突然の事に慌てふためき、まともに叫べないようだ。
見てしまったからには、ここは自分達が何とかするしかない。
彼ら[蜘糸商会]の面子はこの状況を打開すべく行動に出た。
~~~~コメント~~~~
偽シナ始めてみましたえ。
シリーズという書く方にも無謀な挑戦やけども頑張りますえ♪
まずは土台つくりからということで切っ掛けとなる事件や。
協力してひったくり犯を捕まえて金髪の子にバックを返そ。
引ったくり犯は軽率な男で、逃げられたと思うとバックの中身を確認する為に止まるえ。
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■偶然にしても揃いすぎている
事件に遭遇した5人の内、燕糸・踊壺(異形の訂正者・b32648)、
(高校生鋏角衆・b33884)、櫻井・なずな(七胴落とし・b27853)
は即座に引ったくりの男を追いかけた。
黒城・文(小学生魔剣士・b34449)も追跡しようと駆け出したが
何かに躓いて「わたっ」とすぐに転んでしまった。
そして、平賀・双葉(禊がぬ織り手・b32970)は
被害にあった金髪の少女を落ち着かせることにした。
「大丈夫?
バックはあの人たちが取り返してくれるから安心して。」
平賀・双葉の強い説得力のある言葉に少女は少し落ち着きを取り戻し
「は…はい。」と、頷いた。
一方、引ったくりの男は焦っていた。
追ってくる二人の女性、茶髪の女性は恐らく何かスポーツでも
やっているのだろう、運動能力と持久力を持っているようで
いくら逃げても追ってくる。
脅かして止めさせることもできるだろう、しかし茶髪の女性に
引っ張ってもらってやっとついて来ている白髪の少女は
片手に携帯電話を持って誰かと話している。
もしかしたら警察に連絡しているのかもしれない。
隠れてやり過ごすしかないと男は判断した。
■鍵と白いモコモコ
(能力者でもない人とかかわるのはできるだけ避けたいところなのだけど…)
それは非日常の存在である者なら誰でも感じるところであるが、
平賀・双葉は何か違和感を覚えていた。
それは一般では珍しいこの少女の容姿からだろうか。
それとも…
「…。」
未だ不安そうに俯く少女に、黒城・文は言った。
「大丈夫、ボク達の仲間がきっと取り返してくれますよ。」
「ありがとう…こざいます…でも、あの子が心配で…。」
応えた少女の言葉に平賀・双葉は気になる単語を聞いた。
「あの子?」
「実家の鍵と一緒に、父に託されたペットです。」
「ゼッ…ゼッ…はぁ、もう大丈夫だろう、何なんだあの餓鬼どもは…。」
男は路地裏に隠れて悪態をついた。
やがて静かになったことを確認し、へへ…と薄く笑いながら
バックの中を確認しだした。
すると中から白いモコモコとした物体が飛び掛り火花を発した。
「うわっ!?何だこの…っ!!」
男が手で払いのけると白いモコモコは「キュッ」と小さな悲鳴を上げて
落下した。
その時、路地の入り口からカタンと小さな物音がした。
男が驚いて身構えると、男の背後からから…
「こんな寒い中物取りとは、よく元気でいられるな………。」
「うわ…ギャッ!!?」
背後から突然、淡々と話しかけられて咄嗟に男は振り向こうとした。
しかし、声の主、神崎・亮にあっさりと組み伏せられた。
「陽動成功…やな♪」
燕糸・踊壺と櫻井・なずなは待ち構えていた路地裏の入り口に入っていった。
先ほどの携帯は神崎・亮との連絡に使っていたのである。
「…これは…?」
ふと櫻井・なずなは白いモコモコに目をやった。
それは、彼女たちにとって見慣れた非常識の存在。
使役ゴースト・モーラットだった…。
■そして少女・蘭は名乗る。
男はその後、今度こそ警察に通報して捕まえてもらった。
「有難う御座います皆さん…このお礼はなんと言って宜しいのか…
この子のことも・・・」
バックを返してもらった少女は深々と礼をした。
バックから顔を出そうとしたモーラットを抑えて黒城・文は言った。
流石にここでは人が多すぎる。
「いいですよお礼なんて…それより一応、何か盗られてないか
バックの中身を確認したほうがいいんじゃないですか?」
「あ、そうでした…あ、あれ?ない、無い!!
実家の鍵が無い!!」
皆、警察に護送されそうな男を睨む。
「な、何だよ…俺はその鼠に引っかかれて何も盗ってねぇよ!!」
「お巡りさん、ちょお待ってください。」
「少し、叱ってやるとするか。」
淡々と男に迫る燕糸・踊壺と神崎・亮、そして少女にに
黒城・文は言った。
「あの~、もしかしてこれじゃないですか?」
「・・・!!はい、その鍵です。」
「ごめんね、さっき躓いちゃって…。」
そんな会話を聞いて、男は護送されながら安堵のため息をついた。
パトカーが過ぎ去った後、最初に少女に語りかけたのは
平賀・双葉だった。
「貴女、名前は?」
「え?はい、蘭・アンチェスターっていいます。
両親が亡くなって、生前に教えてもらった
『実家』に帰るところだったんです。」
どうやら少女、蘭は日系人らしい。
しかし、それだけでは彼女が非日常の存在を飼っている理由には
ならない。
「詳しく話を、聞かせてもらおうかしら…。」
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