―――――――――シャン…
「……アマサスル………」
……シャン…
「………アメクチヤ……」
…シャン……
「ナニシエヤ……………」
……「ハテ」…シャン………
・・・・・・心地よい祝詞が・・・
・・・私の意識を少しずつ呼び覚ましていく・・・
…少し目を開けると…
…外の様子は大きく変わり果てていた…
…立てられた柩の前で…小さな巫女が、独鈷と錫杖を手に舞っていた…
…祝詞と舞は、段々と速さを増していき…激しいものへとなっていく…
「……が…見え…る…?…」
私は、何とか残った言葉を駆使して巫女に問う…
激しい舞を踊りつつも巫女は驚いたように此方を見た。
「八重架よ、気を散らすでない!!」
外から乱暴な声が聞こえ、八重架と呼ばれた巫女は
怯えるように頷いた。
そして一息入れて儀式の最終段階へと進む…
「アマサスル………」
シャン…
「アメクチヤ……」
シャン……
「ナニシエヤ…」
「ハテ」
シャン……
巫女は独鈷を構えて唱えた。
「アマサスル…ヤエ、イヅモ!!」
………ビシィッ!!!!!!
……一瞬の間を置き、柩に…檻に皹が入った…
そして、法具は転げ落ち、身体中に張られた札は焼け落ちた…
檻は砕けた。
支えるものを失った私の体は、ぐらりと地面に落ちようとする…
体を支えようにも、倒れるなどという数百年ぶりの感覚が気持ち悪く…
それどころではなかった。
…ぽふ……
私の体は、巫女の手に支えられた。
「おお、土蜘蛛様じゃ…」
「ついに我等が御家からも…土蜘蛛様が復活なさった…」
周りの人間たちが感嘆の声を上げる…
…目眩と眠気で意識が朦朧としていた私は…それに構いもできず…
そのまま…再び眠ることにした…
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