偲ぶのは自己満足でしかない
怒るのは偽善でしかない
悔やむのは後悔しか生まない
所詮原初の集団にかかわる以前に、ヤドリギ使いの集落への襲撃に関わっていた時点で
彼女はもう既にこうなることが確定していたのやろうか?
それとも彼女を一度捉えた際に無理やりにでも学園に引き込んでいたほうがよかったのやろうか?
すべて過ぎたことやった、それ以前に私はその艦の戦いに参加すらしていなかった。
確かなのはその最期を見た瞬間、壁を思い切り叩いて八つ当たりしたくなった。
思いっきり「何で!!」「どうして!!」「また何もできへんかったんか!!私は!!」と叫びたくなった
しかし急に思考がドライになって、止めた。
葛城の女王も、今治の女王も巫女も、そして今回のエレインさんも…
人が死なない戦はない、それは記憶が戻ってからも変わることのなかった真理やった。
勝つものがいれば負けるものもいる、その対価として偶々彼らに対して『死』が振り分けられた、それだけのことなのやろう。
しかしこれは、ひととひとの戦いではなかった。
来訪者であれ、それ以上と思しき原初の吸血鬼たちであれ
幻想の許されるこの世界で、何故たった一つの幻想のみが許されないのか…
オルタンス…彼の原初の吸血鬼のことを思い出し怒りが込み上げ
かつての大戦の主犯たるエレインに多くの者が向けたような許されざる殺意
その連鎖に自分が組み込まれたことを理解する。
どこまでも救いのない銀の雨の世界
私の夢がかなうことは…ないのやろうか
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