クリスマスパーティも終わり、師走の月も終わりに近づく頃…
地図を覗きながら蜘糸商会のビルに足を踏み入れる金髪の少女。
彼女の名は蘭・アンチェスター、使役ゴーストモーラットを父から譲り受けたという。
少し前スリにバッグを奪われたところを偶然居合わせた蜘糸商会の面々に助けられた。
彼女の事情に何かを感じ取った、平賀・双葉(禊がぬ織り手・b32970)は
何か事情があるならとスリ事件の後、蘭に銀誓館の地図を渡したのだった。
「あの時は本当に有り難うございました…。
この子のことも、銀誓館学園に行ったら教えてくれました。
そして…私の父の事も…」
アンチェスター家は元々、大富豪の家系でその家に生まれた母と一般の土木作業員だった父は
駆け落ちして遠くの町で暮らしていたらしい。
母は蘭を産んですぐに亡くなってしまい、去年までは父子家庭だったようだ。
しかし、父がモーラットと共に「アンチェスターの実家に挨拶しに行く」と言い残して消息を絶ち…
帰ってきたのは、首から上を失い変わり果てた姿の父と…
鍵を咥えたモーラットのみだった。
恐らく、屋敷に住み着いたゴーストの引き起こした事件なのだろう。
「私にも能力者の兆しがあるようですが、弱すぎて何の能力かは確定できないそうです…。
だから…一人で屋敷に向かうのは許可できないと…
それで、皆さんにお願いしたいんです…
どうか私を、屋敷まで連れて行ってくれませんでしょうか…
勝手なお願いだということは承知しております…
ですが、私はあそこで何があったのか知りたいんです…!!」
蘭は皆に深々と顔を下げた。
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